・法人とは、法の下に共通目的を持った者が集まり、活動する組織体である
・その法人(客先)担当者は、個人とは異なる「別人格」で対応する
・ゆえに、法人として立場上の責任を担い、取引には慎重である
今回は、法人において「取引」をする場合、「その特性とは何か?」を追求してみよう。
まず、取引形態を表す呼称で、BtoC や BtoB と言った言葉がよく用いられる。
Bとは、「Business」の略称。
Cとは、「Customer」もくは「Consumer」の略称。
このことから、BtoCは「企業対個人(電子)取引」、BtoBは「企業間(電子)取引」として表現される。
つまり、主体を企業(B)として見た場合、「顧客は誰か?」によって「to B」なのか「to C」なのかの取引形態が決まるというわけだ。
法人営業とは、顧客が「法人(企業)向け」であることから、一般的に「BtoB取引」となる。
では、BtoBの商取引にはどんな特性があるのだろうか?
ここでは大きく3つの要素を取り上げてみよう。
まず、取引特性の一つとして「取引規模の大きさ」がある。
例えば、ペンを購入するケースで考えてみよう。
個人で使うのであれば、一つもしくは家族用や予備用として3本セット位で十分事足りるだろう。
一方の法人の場合、例えばその従業員数が100人いたとしたら、一人1本としてもペンが100本必要になる。
また、ノベルティグッツ(贈答用)として活用を考えていれば、数百、数千という単位で購入を検討することもある。
例え、ペン1本の単価が少額でも、数がまとまるとそれだけ取引規模が大きくなるわけだ。
続いて、BtoB取引の2つ目の特性は、「取引の継続性」である。
企業という組織は、一過性で存在しているわけではない。
反復継続して収益を確保するために、材料調達、製造、輸送、販売網などあらゆるチャネルで、商取引を繰り広げているのだ。
つまり、すべて「継続性」が前提となる。
万一、継続性が確保できなければ、企業活動はストップしてしまい、存亡の危機までに発展する。
そのようなことからしても、安定し、かつ、継続して供給できる相手先(取引相手)を企業は求めているのである。
そして、BtoB取引特性の3つ目は、「利害関係者の存在」だ。
利害関係、わかりやすく言い換えると「しがらみ」である。
これも、個人とは比較にならないほど「利害関係」が絡んでくるのが法人の特性と言えよう。
昨今では、利害関係者を「ステークホルダー」と一括呼称しているが、その者の実態は、株主、従業員、顧客、取引先(バイヤー・サプライヤー)、金融機関、官公庁…など多肢にわたる。
このように、法人とは企業ごとに異なる「しがらみネットワーク」が存在することも頭に入れておくと良いだろう。
以上のとおり、BtoB取引には「取引規模」「継続性」「利害関係」という3つの特性がある。
それらを踏まえて、次回 「法人営業の定石(購買基準編)」 では、企業がどのような視点で物事や購買の判断をするのか、個人と比較しながら法人営業の特性をさらに追及してみよう。




