そこで、弊社研修に参加する受講生に、「ソリューションって何ですか?」と問いかけることがある。
あくまで実績感覚であるが、「ソリューションとは、○○です」と簡潔に答えられる受講生は2割いるかどうか。
大半は「???」と言った具合である。
この「○○」に当てはまる言葉は、直訳どおりにするならば「問題解決」や「課題解決」と言ったところか。
と、訳してしまえば簡単だが、実際にソリューション営業とはどんなスタイルなのだろうか?
そこで、いわゆる「御用聞き営業スタイル」と対比して考えるとその違いが感覚的にわかりやすい。
「うちの営業は、御用聞きだから困ったもんですよ。」
これは、企業のトップや管理者の皆さんが、よく私たちに訴えてくる言葉だ。
では、御用聞き営業だと何故いけないか?
「御用聞き」は日本では、古くから定着している伝統的スタイルといってもいい。
私がまだ子供で実家にいた頃、酒屋のお兄さんが近所を定期的に訪問していたのを思い出した。
「奥さん!何か入用ありますか?」
「う〜ん、今は特に間に合ってるわ〜」
「じぁあ、また何かありましたらお願いしま〜す!」
このような会話だっただろうか。
どこか、ほのぼのする昭和の光景だが、懐かしんでばかりいてもしょうがない。
そこで、営業コンサルタントの視点からこの光景を分析みよう。
まず、上記の会話を別の言葉に置き換えてみるとこんな感じだ。
「奥さん!顕在化しているニーズは何かありますか?」
「う〜ん、今は特にニーズを感じていないわね〜」
「じゃあ、また何かありましたらお願いしま〜す!」
どうだろう?上記の会話から何を思うだろうか?
では、コンサルタントらしく(?)もう少し掘り下げて考えてみよう。
まず、登場人物2人のうち「主体は誰か?」を考えてみる。
これは、明らかにお客さん(奥さん)であることがわかる。
そうすると、酒屋の兄さんは自然に「受動的」なスタイルとなる。
つまり、お客さん(奥さん)が自らニーズを感じて、初めて商売ができるのだ。
逆に言うと、「ニーズを感じていなければ商売ができない」ということ。
これが、御用聞きの基本スタイルである。
まぁ、昔の酒屋さんと言えば(今も?)お酒はもちろんだが、醤油などの調味料のほか、乾物、飲料など様々な商品を扱っている小売商店でもある。
お客さんに今日ニーズがなくても、明日には何かのニーズが発生することが十分考えられる。
だから、「ニーズ待ち」の状態でも商売が成り立つシステムだったのだろう。
しかし、これを「市場競争の視点」で捉えると、そうは問屋がおろさない。
企業が市場競争に打ち勝つためには、「いつニーズが顕在化するか判らないお客さんを待っているわけにはいかない」のである。
それゆえ、「御用聞き営業」から脱却し「ソリューション営業」という新たなスタイル転換が求められるわけだ。
ということで、次回「ソリューション営業(手法転換編)」において、「ソリューション営業の真髄とは何か?」を追求してみようではないか。




