・商談プロセスは売り手都合の「解」である。
・お客さんは様々な形から買い手の都合で商談を進めようとする。
・だからと言って、お客さんのペースで商談を進めてしまうことは少々問題である。
今回は、実践適応編ということで、実際に商談を展開していくうえでの最適行動の「解」を見つけ出してみよう。
まず、前回のケース事例をあらためて取り上げてみる。
例)「ある不動産販売物件の広告チラシを見て、お客さんから電話で問合せがあったケース」
お客さん:「今日の広告をみたんだけど…」
営業マン:「ありがとうございます」
お客さん:「この○○の物件なんだけど、いくらまで安くできるの?」
営業マン:「お客様はこの物件ご存知なんですか?」
お客さん:「いや、はじめて広告で知ったんだけどね」
営業マン:「そうでしたか…」
さて、この場面からどのような対応が考えられるだろうか。
お客さんの質問に素直に「○○です」と答えるのが「筋」なのだろうか。
では、私流の「やり方」を参考までに紹介しよう。
おそらく、このお客さんの興味は「価格」であることが推測できる。
しかも、値引きが「当たり前」の前提で物事を考える傾向もありそうだ。
まずは、その真意を見極めることが大切な要素だろう。
場合によっては、他の要素よりも「価格優先」で購入する人かもしれない。
ということは、商談プロセスの段階で言えば、いきなり「クロージング」から入ってみてもおもしろい。
そんな時、私だったらこんな質問をぶつけてみる。
「もし仮に購入するとしたら、いくらだったら即決していただけますか?」
この手法は、いわゆる「テストクロージング」の王道みたいなものである。
この質問による回答から、このお客さんの真意がおおかた判明するだろう。
もし、お客さんの返事が「いや、まだ見てないから言えないよ」だったとしたら、「そうですよね、じゃあ、まず見ましょうよ!」となる。
そうすると、今後の絵図(展開)が実に描きやすくなるではないか。
もちろん、返答次第で「継続か」「打ち切りか」を見極めることも可能だ。
このように、営業とはどこにイレギュラーが潜んでいるか分からない。
いや、むしろ机上のとおりに進むことの方がめずらしいかもしれない。
しかし、どんな場面でも自分の取るべき行動に「何が最適か?」を見いだすためには、「普遍的な営業の定石」がまずは基点となる。
そして、あらゆるレギュラー、イレギュラー場面を経験することで、自分にとっての「最適解」が瞬時に判断できるようになるのだ。
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営業とは、最初から100%の成功はありえない。
うまく出来なくて「当たり前」。
営業は、なんと言っても「経験」がものを言う。
自分のものでも他人のものでもいいから多くの商談に触れること。
クレーム場面、修羅場の場面も喜んで行くぐらいでないとダメ。
「命」までは取られないが、「命をかける」ぐらいでないとダメ。
このギリギリの経験値こそが本当の意味で「営業の年輪」を確かなものにする。
大切なのはどんな経験から何を掴んだかである。
掴んだものから「営業の勝ちパターン」が徐々に見いだせるようになる。
営業の勝ちパターン化は、あらたな「営業の定石」に進化する。




