今回から、商談の実行プロセスとなるポイントについて取り上げてみよう。
まずは、ファーストステップとなるアプローチについて。
アプローチは、そのまま訳すと「接近する」という意味がある。
これを営業向けに解釈するならば、お客さんとの「溝」つまりは「物理的、心理的距離を縮める」ということだ。
私自身も駆け出し営業マンの時代には、よく上司から「まず、お客さんの所に行って仲良くなって来い!」と言われたことを思い出す。
当時の私は、これが何を意味するのか、深く考えていたかどうかは定かでないが、「大切さ」だけは本能で感じていたように思える。
まぁ、何をもってお客さんと仲良くなったと思うかは別として、
重要なことは「お客さんが自分を受け入れてくれているか、どうか」である。
アプローチのポイントは、「ズバリ!ここにある」と言っても過言ではない。
なぜならば、相手が受け入れてくれないことには商談が前に進めないからである。
余談であるが、営業コンサルタントの間では「信頼関係を構築することが先決だ」と言う人もいる。
しかし、「信頼関係」と「受け入れ」は連動しているものの、私の経験上で言わせてもらうと『別物』と捉えている。
まずは、「受け入れてもらえること」、そこから徐々に「信頼を得ていく」と言うプロセスのほうが私の流儀に当てはまる。
商談相手の立場で例えるとこうなる。
「まだ、あなたを信頼したとは言えないが、とりあえず先に進めてみてよ」
といった具合だ。
さて、話を本線に戻すとしよう。
初対面の相手というのは、警戒心が一層強く働いているものである。
まずは、その「警戒心を除去すること」に全神経を集中させることが第一である。
自分は誰なのか?
自分の会社はどんな会社なのか?
自分はこの場に何故いるのか?
初回接点時のインプレッション(=印象)は、受け入れ判断に多大な影響を与えてしまうものである。
まさに、コミュニケーションの使いこなしが必要というわけだ。
さて、ここでアプローチにおける最大の『ねらい』を言っておこう。
アプローチとは、「商談の体制づくり」そのものである。
商談を行うことは、お客さんにとっても非常に労力と時間を費やすことになる。
そういう意味では、大きな「負担」になりかねない。
だから、「商談する価値がどこにあるのか」をきちんと指し示すことも重要だ。
商談の目的は何なのか?
何を実現させようとしているのか?
それは、どのくらい価値があるものなのか?
しかし、商談を価値あるものにするためには、自分ひとりでどうにかなるものではない。
当然、お客さんとの「相互協力」が欠かせないものとなる。
自分は、これから何をしようと思っているのか?
お客さんにどんな協力をしてもらいたいのか?
これらの要素に、お客さんからの『同意』が得られれば、商談体制がようやく整ったと言えるのである。
このように、アプローチとは商談プロセス上において非常に重要な位置づけであることがおわかりになるだろう。
商談成功のために「もっとも注力しなければならい段階」と言うことだ。
さて、次回は「商談プロセスの定石(情報収集編)」ということで、更なる商談のステップアップのポイントについて探ってみることにしよう。




