その概念の元は、アメリカからと言われている。
アメリカの営業スタイルの特徴は、「セールスレップ」と呼ばれる「個人事業主」が多く存在することだ。
日本式に例えると「フルコミ(=完全歩合)制」と言ったところか。
企業側にとっては、無駄な固定人件費がカットされるうえ、成果に応じた報酬を支払う制度なので非常に合理的と言える。
しかしその延長にあるものは、売れない営業マンは容赦なく切り捨てられる、売れる営業マンは更なる好条件のフィールドを求めて移籍を繰り返す。つまり、どちらも離職率が高いと言うわけだ。
さて、このセールスレップ制度、営業活動の主体は完全に個人に委ねられているため、企業にしてみると「結果がすべて」となる。
つまり、各人の案件がどんな進捗で、どんな「やり方」で成果に繋げているかは暗黙知化されているのだ。
これでは、企業側にとってノウハウが蓄積されることはない。
そこで、営業活動の進捗を把握しやすくするためのマネジメントとして「営業プロセス管理」という概念が出来上がったわけである。
プロセス管理とは、活動の一連の流れからフェーズ(=段階)ごとに区切りをつけ、進捗の過程を管理していくものだ。
日本においていち早く導入をしたのが、製造業である。製品の製造工程をプロセス化させることで、完成に至るまでの工程チェックが段階ごとに見える化されるため管理が容易になる。
万一、問題が発生した場合でも、原因をいち早く見つけ出し、対策を打ち出すことも可能というわけだ。
この「肝」となる要素は、「こうして、こうして、こうすれば、必然的に目指す形が出来上がる」というプロセスづくりである。
これの考え方は、営業活動にとっても非常に相性がいい。目指す形を「受注」とするならば、「このような段階を歩めば、必然的に受注が取れる」というプロセスがあってもいいはずだ。
万一、失注事案が発生した場合でも、「どの段階でつまずきがあり、何が起因しているのか」を究明し、対策を立てることで受注障害への対策が練りやすくなる。
また、逆の発想から捉えると、受注獲得に至ったプロセスを検証することで、成功要因を抽出し、それらを集約することで自社特有の「勝ちパターン」が見える化されるのである。
そう考えると、営業プロセス管理とは、障害回避のためのリスクマネジメント的要素と勝ちパターン化に向けたナレッジマネジメント的要素が融合した管理手法だと言える。





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