特に、新規取引を持ちかけるようなケースでは、「自社をどう認識させるか?」が重要であり、自社紹介を通じて正しく理解してもらうことが法人営業の定石となる。
今回は、客先担当者のもう一つの視点となる「提案内容」について触れていくことにする。
いわゆる、RFP(=提案依頼書)や客先からの要請がある場合は別として、まずは、持ちかける提案の意味がどこにあるのかを明確にしなければならない。
つまり、「何のための提案なのか?」ということだ。
ここがわからないと、客先担当者が「わが社の経営上どこに作用するものなのか?」が判断できず、よっぽどの暇か特別な利害関係でもない限り、その中身を詳しく聞くことはしないだろう。
次に、提案の中身を見てみよう。
客先企業には、実に多くの提案があらゆる売り手企業から持ちかけられていることを忘れてはならない。
一社独占、特命ならまだしもフリー環境であれば、常に「コンペ」の構図があると思ってよい。
そこで、他社に見劣りする、もしくは、似たり寄ったりの中身では、これもまた、よっぽどの事情がない限り採用されることはない。
「その提案は、何が優れているのか?」
「その提案は、いつ、どんな時、どんな効果を発揮するのか?」
「実現できる確証(裏付け)はどこにあるのか?」
と言ったことを、相手先担当者に理解させることである。
そこで大事になるのは、「理解のさせ方」だ。
購買基準編 でも示したとおり、法人は、物事を感性(情)で捉えることはない。
圧倒的に 「合理主義」「現実主義」 である。
つまり、「夢物語の理想論」や「こうあるべきだ!」といくら語ったところで、ビジネスには結びつきにくい。
ましてや、「ごまかし」や「まやかし」は通用しないと思ってよい。
では、提案攻略のポイントはどこにあるかである。
一つ言うなれば、「法人は、つじつまが取れないものは嫌う」と言うこと。
わかりやすく言えば、「系統性」や「整合性」を見ているのである。
これには「論理性」を持って応えるのが一番の攻略ポイントになる。
「何と何がどう紐付いているのか?」
「なぜ、そうなるのか?」
「それらの要素は、どこからきているのか?」
ここが説得力の源泉であり、「刺さる提案」に必要不可欠なものとなる。
このようなことから、法人営業には「論理的思考力」が要求されるのは当然のこととして、しっかり身に着けておくことが肝心と言うことだ。




