2013年07月30日

法人営業の定石(購買基準編)

前回 「法人営業の定石(BtoB取引編)」 において、次の3つの取引特性を示した。

  1.BtoB取引は、「取引規模」 が大きくなる
  2.BtoB取引は、「継続取引」 が前提となる
  3.BtoB取引は、「利害関係」 が複雑に絡む

これらの特性を踏まえて、今回は法人ならではの「購買基準」について取り上げてみよう。

まず、あらためて「企業」と「個人」がモノを購入する目的を考えてみてほしい。

個人の場合、モノを購入する目的は、『個』 や 『家族』 を主体とした「ライフワーク」にある。

   「いかに豊かさを追求できるか?」
   「いかに平穏無事に過ごせるか?」
   「いかに自分らしさを見いだせるか?」
   「いかに人に喜んでもらえるか?」
   「いかにより良い人生を送れるか?」

と言ったように、「生きていくための感性」がモノの購入に大きな影響力を持っている。

その感性が、何かをキッカケに「購買意欲」を沸き立たせ、時に理屈なしの「衝動買い」に繋がることさえある。

では、企業の場合はどうだろうか?

私は、企業が「衝動買いしてしまった!」ということを、あまり聞いたことがない。

なぜ、企業は衝動買いしないのか?

この答えは簡単。

企業は、根本的に個人とはモノを購入する基準が違うからだ。

結論を言えば、企業は「感性で物事を判断することはない」と言うこと。

では、何を判断基準にするかと言えば、答えは一つ。

「いかに企業経営にメリットがあるのか?」である。

その大枠は、次の3つ。

  「売り上げ増大にいかに結びつくか?」
  「業務効率性、生産性をいかに高められるか?」
  「コストダウンをいかに図れるか?」

この3つはすべて「企業収益」に係るものである。

これらはすべて企業の普遍的な物事の判断基準であるが、昨今の企業経営には、次に示す2つの基準が加わることもあるので覚えておくと良いだろう。

  「いかに(地域)社会に貢献できるか?」
  「いかに(地球)環境に貢献できるか?」

このように企業は、モノを購入する場合、「収益」「社会」「環境」のどこに作用するのかを考える。

そのメリットが十分にあると判断すれば、企業は多額の資金を投下してでも購入を決断するだろう。

しかし、メリットがないと判断すれば、たとえ1円足りともお金を払うことはしない。

簡単に言えば、非常に「合理的」な考え方なのだ。

個人のように「感性」で物事を判断することがない理由はここにあるというわけだ。

このように、企業(法人)向けに営業する場合、どのように物事を判断するのかを把握することは非常に重要である。

そして、客先である法人担当者は、個人とは違う「別人格」で、法人特性をそのまま引き継ぎ、任務を遂行することになるのだ。

ということで、次回 「 法人営業の定石(初回攻略編) 」 では、客先である企業担当者の視点から、法人営業の具体的な攻略法について追及してみることにしよう。


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2013年07月16日

法人営業の定石(BtoB取引編)

前回 「法人営業の定石(法人理解編)」 では、法人特性として次のことを示した。

・法人とは、法の下に共通目的を持った者が集まり、活動する組織体である
・その法人(客先)担当者は、個人とは異なる「別人格」で対応する
・ゆえに、法人として立場上の責任を担い、取引には慎重である

今回は、法人において「取引」をする場合、「その特性とは何か?」を追求してみよう。

まず、取引形態を表す呼称で、BtoCBtoB と言った言葉がよく用いられる。

Bとは、「Business」の略称。
Cとは、「Customer」もくは「Consumer」の略称。

このことから、BtoCは「企業対個人(電子)取引」、BtoBは「企業間(電子)取引」として表現される。

つまり、主体を企業(B)として見た場合、「顧客は誰か?」によって「to B」なのか「to C」なのかの取引形態が決まるというわけだ。

法人営業とは、顧客が「法人(企業)向け」であることから、一般的に「BtoB取引」となる。

では、BtoBの商取引にはどんな特性があるのだろうか?

ここでは大きく3つの要素を取り上げてみよう。

まず、取引特性の一つとして「取引規模の大きさ」がある。

例えば、ペンを購入するケースで考えてみよう。

個人で使うのであれば、一つもしくは家族用や予備用として3本セット位で十分事足りるだろう。

一方の法人の場合、例えばその従業員数が100人いたとしたら、一人1本としてもペンが100本必要になる。

また、ノベルティグッツ(贈答用)として活用を考えていれば、数百、数千という単位で購入を検討することもある。

例え、ペン1本の単価が少額でも、数がまとまるとそれだけ取引規模が大きくなるわけだ。

続いて、BtoB取引の2つ目の特性は、「取引の継続性」である。

企業という組織は、一過性で存在しているわけではない。

反復継続して収益を確保するために、材料調達、製造、輸送、販売網などあらゆるチャネルで、商取引を繰り広げているのだ。

つまり、すべて「継続性」が前提となる。

万一、継続性が確保できなければ、企業活動はストップしてしまい、存亡の危機までに発展する。

そのようなことからしても、安定し、かつ、継続して供給できる相手先(取引相手)を企業は求めているのである。

そして、BtoB取引特性の3つ目は、「利害関係者の存在」だ。

利害関係、わかりやすく言い換えると「しがらみ」である。

これも、個人とは比較にならないほど「利害関係」が絡んでくるのが法人の特性と言えよう。

昨今では、利害関係者を「ステークホルダー」と一括呼称しているが、その者の実態は、株主、従業員、顧客、取引先(バイヤー・サプライヤー)、金融機関、官公庁…など多肢にわたる。

このように、法人とは企業ごとに異なる「しがらみネットワーク」が存在することも頭に入れておくと良いだろう。

以上のとおり、BtoB取引には「取引規模」「継続性」「利害関係」という3つの特性がある。

それらを踏まえて、次回 「法人営業の定石(購買基準編)」 では、企業がどのような視点で物事や購買の判断をするのか、個人と比較しながら法人営業の特性をさらに追及してみよう。


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2013年07月02日

法人営業の定石(法人理解編)

前回 「法人営業の定石(営業スタイル編)」 では、営業には企業の様々な事業ドメインによって、最適な営業スタイルや手法が存在し、捉える視点が異なることをお伝えした。

特に、ターゲット顧客を誰にするのかで、「法人向け営業」「個人向け営業」という2つのスタイルに大別される。

もちろん、同じ「営業」というカテゴリーで考えれば、共通する部分もあるのだが、それぞれの「違い」を知ると、特性に合わせた思考や動きが要求されることに気付くはずだ。

まず、共通することは、どちらも“”を相手にすることに変わりはない。
しかし、大きく異なるのは「その人の立場の違い」である。

言葉を変えると「当事者(本人)」なのか、「媒介者(代理人)」なのかと言うことだ。

そもそも「法人」とは、名の通り、法のもとに人が目的を持って集まり、活動をする組織全体を指している。

そう考えると、法人営業として相対する“人”とは、その人本人ではなく、「別人格」なのである。

法人は、目的をもった集団であり、それぞれの持ち場によって組織化されているのが一般的だ。

つまり、客先の法人担当者は、自分の持ち場(所属部署)と立場(職務権限)を持った「媒介者(会社の代理人)」なのだ。

個人を相手に営業する場合、例外を除いて当事者は本人かその家族である。
当事者ということは、決定権も決裁権も有していることになる。

一方、法人営業の場合は、客先担当者はあくまで会社という人格の一部を担う「媒介者」であり、当事者(本人)ではないのが大きく異なる点だろう。

この意味するところは、法人である客先がどのような組織形態を持ち、その担当者が組織のどの部分に位置し、どのような意思決定、決済ルートをつくりあげているのか、と言ったことを把握する必要があるということだ。

では今度は、個人と法人それぞれの「客」としての立ち位置で違いをみてみよう。

客としての当事者と媒介者の違いは、その延長線上にある「責任の大きさ」が深く関わっている。

当事者であれば、責任の範囲も本人か家族の範囲で限定されるのが通常で、万一何かあった場合でも「自己責任」で片が付く。

また、個人として弱い立場であることから、消費者保護の観点で様々な法規制で守られていることも特性の一つと言えよう。

一方、法人担当者としての立場であるとどうだろうか。

前出のとおり、法人担当者には特定の所属先と職務権限の範囲が定められており、それに応じた「責任」を背負っている。

しかも、その責任は、個人のように「自己責任」の範疇では済まされない。
万一の場合、組織形態上の連鎖責任に波及することも十分にありうるのだ。

それだけに、企業には様々なチェック機能やフィルター機能を設けているのもうなずけるし、個人とは比較にならないほど取引には慎重にならざるを得ない理由があるということだ。

その法人取引の特性については、次回 「法人営業の定石(BtoB取引編)」 で詳しくお伝えするとしよう。


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