1.BtoB取引は、「取引規模」 が大きくなる
2.BtoB取引は、「継続取引」 が前提となる
3.BtoB取引は、「利害関係」 が複雑に絡む
これらの特性を踏まえて、今回は法人ならではの「購買基準」について取り上げてみよう。
まず、あらためて「企業」と「個人」がモノを購入する目的を考えてみてほしい。
個人の場合、モノを購入する目的は、『個』 や 『家族』 を主体とした「ライフワーク」にある。
「いかに豊かさを追求できるか?」
「いかに平穏無事に過ごせるか?」
「いかに自分らしさを見いだせるか?」
「いかに人に喜んでもらえるか?」
「いかにより良い人生を送れるか?」
と言ったように、「生きていくための感性」がモノの購入に大きな影響力を持っている。
その感性が、何かをキッカケに「購買意欲」を沸き立たせ、時に理屈なしの「衝動買い」に繋がることさえある。
では、企業の場合はどうだろうか?
私は、企業が「衝動買いしてしまった!」ということを、あまり聞いたことがない。
なぜ、企業は衝動買いしないのか?
この答えは簡単。
企業は、根本的に個人とはモノを購入する基準が違うからだ。
結論を言えば、企業は「感性で物事を判断することはない」と言うこと。
では、何を判断基準にするかと言えば、答えは一つ。
「いかに企業経営にメリットがあるのか?」である。
その大枠は、次の3つ。
「売り上げ増大にいかに結びつくか?」
「業務効率性、生産性をいかに高められるか?」
「コストダウンをいかに図れるか?」
この3つはすべて「企業収益」に係るものである。
これらはすべて企業の普遍的な物事の判断基準であるが、昨今の企業経営には、次に示す2つの基準が加わることもあるので覚えておくと良いだろう。
「いかに(地域)社会に貢献できるか?」
「いかに(地球)環境に貢献できるか?」
このように企業は、モノを購入する場合、「収益」「社会」「環境」のどこに作用するのかを考える。
そのメリットが十分にあると判断すれば、企業は多額の資金を投下してでも購入を決断するだろう。
しかし、メリットがないと判断すれば、たとえ1円足りともお金を払うことはしない。
簡単に言えば、非常に「合理的」な考え方なのだ。
個人のように「感性」で物事を判断することがない理由はここにあるというわけだ。
このように、企業(法人)向けに営業する場合、どのように物事を判断するのかを把握することは非常に重要である。
そして、客先である法人担当者は、個人とは違う「別人格」で、法人特性をそのまま引き継ぎ、任務を遂行することになるのだ。
ということで、次回 「 法人営業の定石(初回攻略編) 」 では、客先である企業担当者の視点から、法人営業の具体的な攻略法について追及してみることにしよう。




