よく、求人広告で目にする代表的な業界が「保険会社」のそれである。
「コンサルティング営業」
何か、名前だけはかっこよく聞こえる。
しかし、単に「営業」としないで「コンサルティング」がくっついているからには、それなりに意味があってのことだろう。
ということで、保険会社に限ったことではないが、まずは「コンサルティング」の定義について確認してみようではないか。
いわゆる一般的な定義では、「相談、指導、診断、助言」などの行為を指しているみたいだが、これではあまりに端的でわかりにくい。
そこで、私流の捉え方で補足解説してみよう。
世の中には、様々なモノ(商品・サービス)が溢れている。
一つのカテゴリーを見ても、色々な種類、グレード、パターン、コースが用意されていることもある。
もちろん、提供価格、サービス内容も様々。
大衆化されたモノ、誰もが周知のモノ、単純なモノなら自分(お客さん)自身で選ぶことはできる。
しかし、複雑なモノ、高額なモノ、リスクが大きなモノなどは、自らで選べないこともある。
「こんな商品が欲しい、こんなサービスを受けたい!」と思っているのに、「自分にとって何が最適なのか?」がわからないことも多々あるのだ。
では、売り手はそれをどうやって解決できるのか?
そう!「コンサルティング」を行うことで解決に導くわけである。
私は、コンサルティングのゴールとは、「お客さんが自ら判断できるようにすることである」と思っている。
そのためには、お客さんの事情をしっかり把握しなければ始まらない。
つまり、「相手を知る」ということだ。
お客さんは何をしたがっているのか?
なぜ、それが必要なのか?
購入後、どんな姿をイメージしているか?
何をもって『良し』と考えるのか?
どのくらいの予算で実現させたいのか?
このようなことをしっかり聞き出し、根拠としながら、専門家の見地から最適なモノを絞り込んであげるわけである。
また、お客さん自身が選べるようにするためには、「判断材料の提供」も重要だ。
材料とは、情報、データ、導入実績、活用事例などを指している。
前回「コンサルティング営業(ケース事例編)」であったように、お客さんに十分な判断材料を提供できないようでは「コンサルティング」としての資質を問われてもしょうがない。
お客さん自らが理解し、納得して選んでもらえる体制づくりがコンサルティングの本質である。
そして「コンサルティング」に「営業」がくっついている以上は、受注獲得を目指し自社の収益に貢献することが使命でもあるのだ。
例えば、お客さんに判断材料を提供できたとしても、まだ購入に関して「迷い」や「とまどい」もあるだろう。
そんな時は、最初から売り手側が商品やサービスを絞り込むのではなく、
「AとBだったらどっちがいいですか?」
「CとDだったらどっちがいいですか?」
「では、AとDだったらどうですか?」
というように、お客さんに選択させながら絞り込んでいく方法もある。
もちろん、A〜Dについて、お客さんが基本理解していることが前提である。
こうすれば、「売り手に決めさせられた」ということではなく「自分で決めた」という納得感が購入の決め手になることも十分ありうる話しだ。
どうだろう。
少しは「コンサルティング営業」について感覚的にご理解いただけただろうか。
自社の売りモノが「お客さん自らで判断できるのか?」を出発点に、あらためて営業手法を見直してみてもいいのではないか。




